不器用な彼

 なんだ。一番後ろの席か。
 もうすぐ定期考査Ⅲを迎えようとしている秋の日(とはいえまだ暑い)、席替えがあった。
 私は別に苦手な人がいるわけではなく、基本、誰とでも問題なく話すことができるので、隣が誰だとか、別にどうでもいいことなのだ。
 もちろん、好きな人も、いない。私自身、そういうものには興味がないのだと思う。
 それに、良く言えば私は特に問題を起こすことがない。つまり、目立つような人間でもない。割と静かめな人間だ。でも、そんな私も生活委員会に所属して、最低限の仕事はこなしている(と思う)。
 だからだろう。と思う。一番後ろの席になったのは。先生から信頼をおかれている、と言えば聞こえはいいかもしれないけれど、要するに、影がうすい存在、なのかもしれない。
 そんなことを考えながら、私は今日も、「真面目な人」として過ごしている。 


 隣の人のこともあまり気にしなかった。
 男子なのは分かる。彼も私と似て、そんなに話すような人ではなさそうだ。