泡沫の月に幽玄の狼


それからもう一つ、変わった事がある。
それは、絃士が交番勤務から捜査一課へ復帰したことだ。

絃士は出来るだけわたしの傍に居られるように交番勤務のままで居ようとしていたが、わたしは絃士が本当は捜査一課での仕事が好きなのを知っている。

だから、わたしが捜査一課に戻ってほしいとお願いしたのだ。

やはり、わたしは捜査一課でやり甲斐ある好きな仕事をしている絃士が好きだ。
そして、何があってもこれからもずっと傍にいたい。




それから20時頃、絃士は帰宅した。

「ただいま」

絃士は帰宅すると、真っ先にわたしに歩み寄り抱き締めてくれる。
帰宅したばかりの絃士は、外の匂いがする。

「おかえり」

こうして"おかえり"のハグをするのが、わたしたちの日課になっていた。

「ちゃんと、昼は食べたか?」
「うん、美貴がオムライス持ってきてくれた」
「そうか。小坂には、世話になりっぱなしだから、今度何かお礼しないとな」
「そうだね」

そのあと、わたしたちは二人揃って夕飯を食べ、お風呂に入る前に夜の散歩に出た。

場所はいつも決まって、以前に絃士が勤務していた青葉交番の近くにある青葉公園だ。