あざ恋王子は近すぎる。

グイッと引っ張られ、蓮の胸元に私の体がすっぽりと収まる。
廊下の女子たちの視線が一斉に突き刺さるのが分かった。



「ちょ、蓮、離して! みんな見てるから!」

「えー、なんで? 幼なじみなんだから、これくらい近くてもいーじゃん」



蓮は首を少し傾げて、私にだけ聞こえる声で囁いた。


「……それとも、俺のこと男として意識しちゃった?」


悪戯っぽく笑う彼の瞳は、完全に私をからかっている。
「い、意識するわけないでしょ! バカ!」

私は真っ赤になった顔を隠すように、蓮の手を振りほどいた。私は連より1つ年上。
クラスや学年が違うのだ。

それが、せめてもの救い。これ以上近くにいたら、私の心臓がもたないもん……!