あざ恋王子は近すぎる。

「おはよう、陽菜」

「お、はよう……」


「そういえばさ」

心臓がバクバク鳴るのを隠すように、私はずっと気になっていたことを切り出した。


「あの雨の日、距離を置こうって言ったとき……ポケットに何か隠してたでしょ? 体調悪そうだったし、本当は何があったの?」

私の言葉に、蓮は一瞬だけきょとんとした顔をした。
それから、あ、と声を漏らすと、少しだけ耳を赤くして、自分のスマホのポケットをごそごそと探り始めた。


「……あの日、隠してたのって、これのこと?」


蓮の手のひらの上に載せられたのは、小さくて可愛い、ピンク色のキーホルダーだった。




「えっ……それって、私が無くしたやつ……!」



それは数週間前、私がどこかで落としてしまい、ひどく落ち込んでいたお気に入りのキーホルダーだった。