あざ恋王子は近すぎる。

「蓮……!? なんで……」



声を失う私に、蓮はスタスタと迷いのない足取りで近づいてきた。

いつも完璧なはずの制服のネクタイは緩み、髪も乱れている。
何より、その瞳には一週間分の寂しさと、今にも決壊しそうな感情がなみなみと溢れていた。


「……バカ陽菜。なんで一人で泣いてんの」


蓮は私の目の前に立ち、昔、泣き虫だった頃のように、情けなく眉を下げて私を見下ろした。


「なんでって?意味わかんない!」

「蓮が、距離を置こうって言ったんじゃん……! 私のこと、もう嫌いになったんだと思った……!」

私が泣きながら胸にポカポカと拳をぶつけると、蓮は抵抗することなくそれを受け止め、次の瞬間、私を壊れ物のようにぎゅっと抱きしめた。


「嫌いになるわけないじゃん……っ! 忘れるなんて、一日だって無理だった……!」