あざ恋王子は近すぎる。

文化祭が明けた翌週。


それまでの秋晴れが嘘のように、空はどんよりとした雨雲に覆われていた。
グラウンド裏での、あの必死な告白の後。蓮はまた、仕事が急激に忙しくなって学校を休みがちになっていた。


「……ねえ、ネット見た? 一ノ瀬くん、共演者の若手女優とすごく仲良いらしいよ」


「お似合いだよね。美男美女で、もう住む世界が違う感じ」


教室の片隅で、女子たちの噂話が胸に突き刺さる。スマホを開けば、ドラマの公式SNSに投稿された、蓮が綺麗な女優さんと並んで楽しそうに微笑む写真。


「……っ」


胸の奥が、ぎゅっと雑巾みたいに絞られる。
他の女子に囲まれていても「お仕事だから」って我慢してきた。
でも、画面の向こうで私に見せないような大人の顔で笑う蓮を見て、私は生まれて初めて、猛烈な嫉妬に襲われていた。