あざ恋王子は近すぎる。

「蓮……」

「俺に不満があったんだよな、ごめん」

蓮の声が、微かに震えていた。よく見ると、私を閉じ込めている蓮の大きな手が、小刻みに震えている。



「子供の頃からずっと、俺は陽菜のものだし、陽菜は俺のものだって信じてた」


蓮は私の肩に額を預け、すがりつくように呟いた。


「芸能人になんてならなきゃよかった。そしたら、ずっと陽菜の隣にいられたのに……」

「蓮……」


あざ恋王子の仮面が完全に剥がれ落ちた、ただの『蓮』

「私も、蓮が芸能人になって、人気者になって、すごく寂しかった」

「でもね、それ以上に安心したよ?
蓮が一人で這い上がって、その実力が認められたんだから」

「私、幼なじみとして、できるだけ頑張るよ。だから、蓮はまず、自分のことを大事にして」

何か言いたげな蓮の唇が、少し震えている。
私がそっと腕をのばすと、彼は小さなあの頃のように、無邪気に抱きついてわんわん泣いた。