あざ恋王子は近すぎる。

あれ?カバンに付けてたはずの、キーホルダーがない?

あれは蓮に貰った大事なものなのに……!


「……何してんの、こんなところで」



不意に、少し低い男の子の声がして、私はハッと我に返った。
見上げると、カバンを肩にかけた瀬尾くんが立っていた。


「あ、瀬尾くん。後夜祭、行かないの?」


さすがに瀬尾くんはキーホルダーの場所なんて知らないでしょう……。


「人混み嫌いだし。それより、お前さっきから泣きそうな顔してるぞ」


瀬尾くんは私の隣にどさりと腰掛けると、いつものぶっきらぼうな口調で言った。


「一ノ瀬のこと、そんなに好きなの?」「え……? 」


図星をつかれて、言葉が詰まる。私の胸の奥を見透かすように、瀬尾くんは静かに視線を落とした。



「あいつが遠いなら、俺にしなよ。俺なら、お前を一人にして泣かせたりしない」

「あいつなんて、お前を放っておいてるから、今悲しんでるんだろ」

違う……、蓮は忙しいだけ。
言ってしまえば、私だって悪いのだ。

最近は自分が疲れてるからって、蓮に甘えて何もかもぶつけすぎてしまった。