あざ恋王子は近すぎる。

「あ、うん。空いてるよ」


「ありがと。……なんか、最近ずっと元気ないなと思って」


瀬尾くんは私の隣に腰掛けると、ストロー付きの紙パックミルクを差し出してきた。


「これ、購買で余ってたから。やるよ」
「え、いいの? ありがとう……」

少しだけ、張り詰めていた心が軽くなる。蓮のことで頭がいっぱいだった毎日に、別の誰かが入ってくるなんて思ってもみなかった。


「お前、一ノ瀬と幼なじみなんだろ? あいつ、最近テレビで見ない日ないもんな」

「うん。……すごすぎて、ちょっと別の世界の人みたい」


ぽつりと本音が漏れてしまう。瀬尾くんは私をじっと見つめると、少しだけ表情を和らげた。