あざ恋王子は近すぎる。

「な、何してるの? 台本にそんなこと書いてない!」


「いいの。俺が今アレンジしたの」

蓮は下から私の顔をじっと見上げ、あざとく小首を傾げた。

「ねえ、頭撫でて? 頑張ったら、お前からのご褒美が欲しいなー、なんて」

その声は、テレビで聴くどんな俳優の声よりも甘く、私の鼓膜を震わせた。
心臓がバクバクと暴れ出す。私のノートを持つ手が、かすかに震えているのが蓮にバレてしまいそうだった。


「……っ、そんな甘えた役なの?」


「ううん。役じゃなくて、これは俺の本音」

蓮はフッと悪戯っぽく笑うと、私の手を自分の髪へと誘導した。