冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

 心の中で嘆く美桜のことを抱き寄せながら恭司が伝えた。


「ま、間に合ってますから」

「本当に?」

「本当ですっ……!」

 恭司が口元を綻ばせた。

「あんた、本当に黒猫みたいで可愛いな」

 ドキン。
 美桜の心臓は高鳴る。

(なんだろう、昨日よりも優しい気がする。元々優しかったけど、もっと。なんでかな?)
 
 ふと。
 窓ガラスに映る自分の身体へと視線を向ける。
 うっすら青い跡がいくつも残っていた。

「なんだろう、痣みたいなのがある」

 すると。

「ああ、マーキングだよ」

「え? ……ん」

 恭司が美桜の項の肌にちゅっと口づけた。

「俺のだって、跡を残しておかないと。あんた、また逃げるかもしれないからな。俺から逃げる気が失せるようにと思って、昨日の夜のうちに跡をたくさん残させてもらった」

「跡をたくさん――っ……!」

 そこで美桜は気付いた。
 赤かったり青かったりする、小さな反転のようなものが――恭司のキスマークの跡だということに。

 ――ピンポーン。

「ああ、ちょうど荷物も届いたみたいだな」

 恭司が美桜を軽々と抱き上げると、そっとソファに横たえた。
 そうして、荷物を取りに部屋を後にする。
 残された美桜は――しばらく恭司の背中を追っていたが、見えなくなってからは自身の姿を眺めた。

「恭司さん、身体が大きいから、私が着たら白シャツがぶかぶか」 

 乱れた着衣を戻しながら、美桜は火照った自分の身体をぎゅっと抱きしめた。

「なんだか恭司さんに抱きしめられているみたい。……本気で好きになったらダメな相手なのに」

 ――叶わぬ恋の予感しかしなくて、なんだか切ない気持ちになった。