ひとまず受け取ったものの、なんだか着るのに躊躇してしまった。
「なんだよ、来たくないのか?」
「え? 着たくないわけじゃないんですが……そのう……」
「だから、何なんだよ?」
「……ドキドキするな、と」
美桜は思わず目をぎゅっと瞑った。
(自分で言ってて、恥ずかしい)
おそるおそる目を見開くと……。
「……っ」
どうしてだか、恭司が息を呑んで静止していた。
なんとなく首が赤い気がするが、気のせいだろうか?
「俺としたことが……」
恭司が髪をかき上げると、一拍置いてチラリとこちらを見てくる。
先ほどとは違って、どうやら少しだけ余裕を取り戻したようで、口の端をゆるりと吊り上げた。
「……悪いが女物はない。猫のミオみたいに裸で過ごしてもらっても、俺としては構わないけどな」
「……裸……っ」
美桜は動揺した後、ポツリと告げた。
「きっ、着ます」
慌てて恭司の白シャツを着ることにした。
「ぶかぶか」
「そのままでも悪くはないが、ほら」
恭司が美桜の袖をめくってくれた。
「ありがとうございます」
「いいや、気にしないでくれ」
そうして、美桜はベッドから降りると、窓辺に向かって、外を眺める。
「わあ、かなり晴れてきましたね。昨日の雨が嘘みたい」
ふと、恭司がぼやいた。
「そういえば、あいつの缶詰が残り一個だったな」
あいつというのは、黒猫のミオのことだろう。
「だったら、お洋服が届いたら、缶詰を買いに行かないとですね?」
「ああ、そうだな」
気を取りなおして、美桜は外を眺める。
「それにしたって、宅配は何時頃に来ますかね? そろそろ届きますか?」
正直なところ、裸の格好に白シャツという出で立ちは、なんとなく気恥ずかしい。
(下着も身に着けてないから、風が入ってきてヒヤヒヤするもの)
ちょうど、その時。
美桜の腰に恭司の腕が回される。
「……んっ、恭司さん、どうしたんですか?」
「その格好、結構そそるものがあるな」
「え……? ひゃっ……」
白シャツから露わになった太腿を、彼の大きな掌が撫で擦ってくる。
「恭司さん、待って、何を……?」
「さっき説明しただろう? この格好がそそるなって」
「それは……っ……!」
「あんたはどうだ? 昨日の夜ので満足したのか?」
「それは、はい、もちろん……あっ……」
「そうか。だが、俺はまだまだあんたが足りないんだ」
昨晩も七回ぐらいしていた気がするのだが……。
(男の人って、ずっとこんな調子なの……?)
イマイチ比較対象がいないので――よくは分からないが――。
(言われて見れば、春になると猫もいつもずっと発情して鳴いているし……)
雌猫は複数の雄猫と交尾を何回もするという話だし、人間の男性もそのぐらいなのかもしれない――?
もっと友人たちに詳しい話を聞いておくべきだったと、こんな時だけれど思ってしまった。
「どうせ、宅配が来るまでは外に出れないんだ」
すると、恭司が美桜の耳朶を軽く食んでくる。
そうして、彼が舌なめずりをした。
耳元で淫猥な水音が聴こえて――美桜の心臓が落ち着かない。
「あんたの服が届くまでの間、しばらく俺が一緒にじゃれてやるよ」


