冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

 恭司の手がそっと美桜の頬に触れた。

「あ」

 ドクン。
 ドクンドクン。
 ――彼の顔が近づいてきたかと思うと、ちゅっと彼女の唇を奪ってきた。
 そうして、離れると――恭司が口の端をゆるりと吊り上げる。

「俺から逃げるな、って」

 美桜の心臓が早鐘のように落ち着いてくれない。
  
(この人、やっぱり女誑しの悪い男の人だ)

 彼の長い指が彼女の頬を撫でてくる。
 朝一番でドキドキが落ち着いてくれない。
 優しい手つきで撫でられていたら、夜の間の出来事を思い出して、全身が火照っていくのを感じてしまった。
 美桜が潤んだ瞳で見つめていると、恭司もじっと見つめてくる。
 そうして、彼が彼女の顎を撫でてくる。
 顎を。
 そう。
 顎を……しきりに。
 すると。

「ゴロゴロ懐いてこないな」

 恭司がポツリと呟いた。

(……!)

 美桜は合点がいった。

「顎ばっかり撫でてくると思ったら……! 私は猫じゃありませんっ!」

 すると。

「ハハッ、毛を逆立てて怒る猫みたいだな」

 恭司が声を上げて笑いはじめた。
 美桜の心臓がまたしてもドキドキ高鳴ってくる。
 すっと彼の手が離れると、物寂しさを感じてしまった。
 着替えをはじめた恭司の広い背中を――美桜はドキドキしたまま見つめる。
 恭司は下衣を穿くと、ベッドの端に腰かけた。

「あんた、着替えがないだろう? とりあえず宅配で届くように手配してあるから。昼には届くはずだ」

「何から何まで、ありがとうございます」

「いいや、甲斐性なしにはなりたくないだけだ」

 ふと、美桜は部屋の中を見た。
 室内はガランとしている。彼はどうやら物をあまり置かないようで、清潔に整えられた室内には、小さなテーブルとソファ、そうして、美桜と恭司が座っているシングルサイズのベッドが設置されてるだけだ。

「ああ、そうだ。宅配のやつが来るまで、ひとまず、これでも着ておけよ」

 手渡されたのは――。

(恭司さんの白シャツ……!)