冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい



 恭司が意地の悪い笑みを浮かべているのが伝わってくる。
 ドクンドクン。
 美桜の心臓が高鳴っていく。

(私はこのまま恭司さんに抱かれてしまいたい。だけど……)

 そんな本能とは別に――理性が働いてしまう。

(また前の職場と同じことを繰り返すのも怖い)

 美桜はきゅっと唇を噛み締めた。

「貴方もご存じの通り、前の職場では上司の愛人だっていう噂が流れて仕事が立ち行かなくなりました。だから、今度こそそれは避けたくて……」

「なんだ、そんなところだと思ったよ。相手が俺だから問題ない」

「貴方が社長だから問題で……」

 美桜は思わず後ろを振り返った。
 恭司が真摯な眼差しをこちらに向けてきていた。
 ドキン。

「噂が本質的な問題じゃない。同僚たちからの嫉妬による嫌がらせが、退職した真の問題だ」

「それはそうかもしれませんが……」

 彼の指が彼女の頬に添えられた。

「あんたが働くのは俺の会社だ。俺のそばにいる限り、俺があんたを守ってやるよ」

「あ……」

 ――心臓が心地良いリズムを奏で始めた。
 そんな風に言ってもらえるなんて嬉しい。
 そうして――恭司が美桜の濡れた髪を耳にかけてやる。

「さあ、これであんたの中の問題は解決したか――?」

 まだもう一つ大事な問題が解決していない。
 けれども、問いかけるよりも先に、彼の唇が彼女の首筋を吸い上げた。

「んっ……」

「さあ、今度こそ続きだ。俺に全てを委ねろ。お前の憂いも全部、俺が忘れさせてやるよ」

 恭司の熱を孕んだ吐息がかかる。
 二人の唇同士が重なり合うと――長い夜が再び始まりを告げたのだった。