冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい


 そうして、美桜は促されるがままシャワーを浴びて過ごしていた。

(まさかお泊りになっちゃうなんて……)

 空いている部屋を案内してもらえるらしいが、やはり同じマンションの中で一夜を過ごすのは、なんだか気恥ずかしい。

(とりあえず一泊するだけなんだから。意識しすぎたらダメよ。上がったらすぐに寝ちゃおう)

 美桜はシャワーを止める。

「ふう、気持ち良かった」

 そうして、バスタオルで身体を拭いていたら、とある事実に気付く。

「あ、着替えがない!」

 下着もスーツも濡れているので、現在乾かしている最中だ。

(どうしよう、ひとまずバスタオルを巻いたまま、恭司さんに声をかける……?)

 その時、電気が明滅しはじめる。
 しばらくチカチカした後、ふっと消えてしまった。

「きゃあっ!」

 真っ暗になったので驚いて声を上げてしまう。
 またしても停電してしまったようだ。
 ちょうど美桜が廊下に続く扉を開いた瞬間――。

「大丈夫か?」
「きゃうっ!」

 どうやら悲鳴を聞きつけた恭司が来てくれたようだったが――派手にぶつかってしまった。
 床が濡れているのもあって、そのまま弾き飛ばされかけたが……。

「おっと、危ないな」

 美桜は裸のまま恭司に抱きしめられてしまった。

「ええっと、ありがとうございます」

「いいや、今のは俺も悪かった」

 暗がりな上で裸のせいで――恭司の逞しい胸板と腕とに抱きしめられているのが、直接分かってしまって、心臓が鳴りやまない。

「御影社長、あの、もう大丈夫ですから、そろそろ離していただいて」

 だが、恭司は離してくれそうにない。

「あの、御影社長……? ひゃっ……」

 挙句、彼が彼女の首元に顔を埋めてくる。首筋に吐息がかかってくすぐったい。
 心臓がバクバク鳴り過ぎて、頭がおかしくなりそうだ。
 恭司がゆっくりと言葉を紡ぎはじめる。

「あの夜、処女だと思ってなかったから、雑に抱いたなと思っていてな」

 突然――結ばれた夜の日のことが話題に出てきたので、美桜は動揺してしまう。

「ええっと、その……雑には抱かれなかったですよね? すごく丁寧だったというか。回数も多かったですし……」

 美桜はしどろもどろになってしまった。
 そっと恭司の手が彼女の顔を包み込んでくる。

「せっかくだから、あの夜のやり直しをさせてほしい」

「え……!?」

 あまりにも思いがけない発言だったため、美桜は驚いてしまう。

「あの夜は……海外だったから気持ちが大胆になっていたんです。お酒のこともあったから……んんっ」

 恭司の唇が美桜の首筋を吸い始めた。
 逃げ出そうとしたが、恭司の腕の力が強くて逃げ出せそうにない。
 彼の大きな掌が肌の上を触れるか触れないかぐらいの手つきで撫で始める。
 ゾクゾクした感覚が全身を支配してきて、そのまま彼に身体を委ねたくなってしまう。

「あっ、社長、待って、ください……」

 壁に押し付けられると――今度は唇を奪われてしまった。

「ん……あ……んっ……」

「発情中の猫の鳴き声みたいで可愛いな」

 唇の中に彼の舌が捻じ込まれると、口腔内を荒々しく貪られはじめる。
 彼の手が彼女の鎖骨をなぞりはじめる。
 ひとしきり唇を弄ばれた後、彼の唇がゆっくりと離れた。
 だんだんと暗闇に視界が慣れてくる。

「流されるなって……んっ、仰っていたじゃないですか?」

 恭司と美桜の視線が絡みあう。
 彼の瞳に劣情が宿っていのが分かってしまい、彼女の身体を火照らせてくる。

「こういう時はな……」

 彼の指が彼女の頬にかかっていた濡れた黒髪を耳にかけてやる。
 彼女の耳朶に彼の唇が近づくと――色香を孕んだ声音で誘惑してくる。

「……黙って俺に流されておけよ」

 美桜の瞳が揺れ動く。

(どうしよう、私……この人から逃げられそうにない)

 そうして――恭司が美桜の唇を再び奪ってきたのだった。