恭司が何気ない雰囲気で答えた。
「あんたも猫みたいな奴だからな」
美桜はキョトンとした。
(ん? 私は人間枠じゃないの……?)
少々ガッカリしてしまう。
「それに、あいつもあんたに懐いているし、名前も一緒だから、ちょうど良いんじゃないか?」
「ちょうど良いですか?」
「嫌なのか?」
先ほどから――恭司からの圧が強い。
(何がなんでも私に任せたい雰囲気を感じる)
恭司が不敵に笑んだ。
美桜は口を尖らせながら考えていたが……。
「分かりました。でしたら、ミオちゃんのことも気になりますし、お世話に来ようと思います」
「ああ、それは良かった。恩に着る」
恭司がふっと微笑んだ。
揶揄うような笑みではなく――心の奥底から嬉しそうな笑みだ。
ドキン。
美桜の心臓がドキドキしてくる。
そうこうしていたら、電気がパッと点灯した。
「良かった。そろそろ、雨はやみましたかね?」
「残念ながら、雨はひどくなっているな」
窓の外を見ると、雨足は激しさを増している。
すると、恭司が美桜に声をかけてきた。
「せっかくだから、泊って行けよ」
「え?」
意味が分かって、美桜は手をぶんぶんと振った。
「御影社長のお家に泊まるなんて、そんなことできません!」
すると、恭司がこれみよがしに溜息を吐いてくる。
「ドイツで一晩一緒に過ごしただろう?」
「それはそうでしたが、それとこれとは別でして」
「……今更だろう? こんな土砂降りに呼ばれても、タクシーだって迷惑だ。空いてる部屋を案内してやるから」
誰かに迷惑をかけるのは気が引ける。
「でしたら、お言葉に甘えたいと思います」
「そうか。だったら、先にシャワーを案内しようか」
「いいえ、社長からどうぞよろしくお願いします」
「俺は後で良い。ほら、行くぞ」


