冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

「おい、ミオ、そんなに俺に爪を立てるな、ああ、ひっかくなよ。待てって……落ち着けって言ってるだろうが……!」

「ああ、ミオちゃん、御影社長、どうぞこちらに」

 美桜が慌てて恭司から黒猫ミオを引き取った。
 すると、ミオはすっかりご機嫌になって、美桜に身体を擦り寄せてくる。
 恭司が憮然とした表情を浮かべながら問いかけてきた。

「なんとなくドイツにいた黒猫に似ているだろう?」

「そうですね……というか、同じ黒猫……?」

 黒猫ミオは前脚を怪我していた。
 顔つきも似ている。

「俺もそう思ったが、ドイツから日本に猫を運ぶには色々手続きが面倒なんだよ。だから、おそらく違う猫だ」

「そうなんですね」

「もしくは誰かの飼い猫かだが……その可能性は低いと思っている」

 美桜はミオと一緒にじゃれはじめた。
 さらさらの毛並みが肌に触れると気持ちが良い。
 しばらく経った頃、元々マンションにきた目的を思いだした。

「社長、そういえば、困りごととは?」

「こいつ、夜行性だからか、夜中にケージの中で暴れまわることがあってな。どう対応したら良い?」

 恭司から訪ねられたミオはキッパリ答えた。

「それはケージに入れているからですよ」

「ん?」

「そもそも猫ちゃんは夜行性ですが、自由を尊ぶ生き物です。自由にした上で、ちゃんと飼い主である御影社長が毎日寝る前に遊んであげたら、すやすや寝てくれると思います」

「俺がこいつと?」

 恭司がやや面倒そうな顔を浮かべた。
 美桜は首を傾げる。

「そんなに一緒に遊びたくないのに、どうして猫を飼おうと思ったんですか?」

「ん? なんとなくな」

 恭司の歯切れが悪くなった。
 無理に聞き出しても良くないだろう。
 しばらくすると、眠くなったのか、美桜の腕の中でミオがスヤスヤと眠りはじめた。そっとクッションの上に眠らせてやると、二人で隣のダイニングルームへと戻った。
 美桜は爛々とした眼差しを恭司に向ける。

「ミオちゃん、可愛かったです」

「ああ、良かった。あんたなら、あの猫も懐きそうだって思ったんだ」

「そうだったんですね」

 美桜がニコニコしていると、恭司が思いがけない申し出をしてきた。

「あんたに頼みがある」

「頼み?」

「ミオの世話をしてもらいたいんだ」

 美桜は首を傾げた。

「私が……ですか?」

「ああ、そうだ。猫の世話をしてくれる奴を探してたんだ。そう言われれば、ドイツで会った時に、猫が懐いていたなと思い出してな」

「そういうことなんですね。でも、私じゃなくても良いのでは……」

 これ以上、恭司に近づいたら、完全に好きになってしまいそうだ。

(ちょっとだけ距離を置きたいから断りたいんだけど……)

 恭司が黒髪をかきあげる。

「さっきも言ったが、俺は他人を部屋の中に入れるのが好きじゃあないんだよ」

「だったら、私もダメなんじゃ?」

「あんたは大丈夫だ」

「私は良いんですか?」

「ああ」

 美桜の心臓がドキドキしてくる。

(なんで私だけ大丈夫なんだろう?)