冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい


 茶髪の髪をオールバックにした、愛想の良さそうな雰囲気の青年だった。恭司に比べると中性的な雰囲気はあるものの、がっちりした体躯の持ち主だ。

難波(なんば)か」

 恭司はあからさまにガッカリしてしまった。
 難波は旧友で、恭司が会社を立ち上げる時も一緒に付き合ってくれた人物だ。
 現在は恭司が経営している会社の副社長を務めてくれている。

「おいおい、恭司。わざわざ日本から副社長が社長のことを迎えに来てやったってのに。ツレない態度だな」

「大学時代の恩師が死んだから、滞在期間を延ばすって話してただろう?」

「ああ、そういやあ、それで帰国が伸びたんだったか。てっきり、学生時代みたく女と一緒に過ごしてるもんだと思ったんだが……」

 難波のぼやきに、恭司がカラッとした態度で返した。

「まあ、間違ってはいないが……俺からこの部屋に女性を呼んだことはない。知ってるだろう?」

「ん? やっぱり女が一緒だったのかよ? 最近のお前が女性の話をするなんて珍しいじゃないか。幹部連中がお前に結婚しろって見合い話を持ち掛けているだろう? 断ってばかりじゃなくて、さっさと俺みたく身を固めろよ。それで、どんな女性だったんだ?」

「俺は誰とも結婚するつもりはない。そんな男と結婚しても、相手の女だって不幸になるだけで……」

 ふと、脳裏に猫と戯れるミオ(仮)の姿が浮かんできた。

「不幸になるなんて決まってないだろう? 結婚するのが煩わしいのにテキトーに言い訳してるだけなんだって」

「そうかもしれないな。ところで難波、途中で黒髪ショートカットの日本人女性とすれ違わなかったか? ちっこくて童顔の女」

「ん? なんだ? マッサージか何かで呼んだのにチップでも払いそびれたのか?」

 難波はミオ(仮)のことを恭司と一緒に過ごした女性だとは思いもしていないようだ。

「ああ、そういやあ、恭司、人事部長から相談が上がってるんだが、中途採用の面接を女性が受けに来ててな」

「ん? 全く役に立ちそうにない女じゃないなら、好きに採用すれば良い。わざわざ俺に報告してくるな」

「それが、その子の前の会社っていうのが、新宮(しんぐう)傘下(さんか)の会社なんだよ」

 難波の言葉で、どうして社長である恭司に伺いを立ててきたのか理解した。

「新宮傘下の会社か、まあどうせ下っ端の女なんだろう? 何か影響があるとは思えないが、まあリスクの芽は摘むに越したことはないか。その女性には悪いが不採用にしておけ」

「了解。まあ、おどおどした感じで、企業スパイなんかにも向いてなさそうな感じなんだけどな。まあ、お前の好みじゃあ絶対にないが、俺としては可愛くて好みのタイプなんだよ」

 難波が歯を見せて笑いながら、スマホの画面を見せてきた。

「難波、顔の良し悪しで人を判断するな。いつか痛い目に遭うぞ」

「ちっ、起業してから面白みを失くしたんじゃないかあ、恭司。俺はカミさんは顔で選んだが、後悔はしてないからな!」

「イチイチ惚気てくるなよ」

 興味がなかったが、恭司の視界の端にチラリと写真が映る。
 ちょうど採用者の上半身が載っている。
 そこに映っていたのは……。

「こいつは……」