冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい


 それからすぐ。
 恭司は朝陽の眩しさで目を覚ました。

「ん……久しぶりによく寝たな」

 最近は仕事疲れもあってか、寝ても寝たりない感じが続いていたのだ。
 だがしかし、今日はやけによく眠れた気がする。
 恭司は寝ぼけ眼なまま考える。

(確か、小さな黒猫みたいな女を拾ったんだったな……)

 橋で考え事をしたら、突然声を掛けられた。
 恭司は顔立ちがよく生まれてきたせいか、日本人女性からも外国人女性からもよく声をかけられる。だから、その類の女だと思っていたのだが……。

(具合が悪いのか、自殺志願者なのかって、ガチめに聞いてこられたな)

 今まで相手にしてきた女性達の中でも、すごく幼い印象を受ける女性だった。庇護欲をそそるタイプというべきだろうか? どうやらホテルを取る日程を間違えていたようで、行く当てもなく彷徨っていたので助けてやった。
 ついつい小動物を愛でるかのような気持ちでいたら、どうしてだか――無性に彼女に触れたくなった。

(あんまり好みのタイプの女じゃないはずなのに。どうしたんだろうな)

 初対面の自分に向かって「泣いている」ことを指摘しはじめる――よく分からない類の女性だった。
 どうやら親から過保護に育てられたのか純粋無垢で、表情がくるくる変わって面白くて、揶揄いがいがあるタイプのようでもあった。
 それに――。

『猫ちゃん、また会いたかった』

 やけに猫に好かれていて……薄汚れた猫に対しても優しく微笑みかけていた。
 しかも、『色々頑張ってこられた人なんだなって思ったんです』とかなんとか恭司のことを褒めてきた。
 恭司の見た目やスペックや金目当ての――自分本位な女性達ばかりが周りにることが多かったので、新鮮な反応だった。
 あげく……。

『だが、あんただって同じ猫なら、さっきの薄汚れた野良猫(のらねこ)みたいなのじゃなくて、皆に愛されて育った高貴な猫を選ぶだろう?』

『いいえ、私は単純だから、自分に懐いてくれる猫が好きです』

『……高貴だが、色んな奴らから疎まれているような猫でもか?』

『はい、もしもその猫が私のことを好きだって言ってくれたら、私もきっと好きになると思います』

 彼女が猫のことを愛おしそうに抱く姿が脳裏に浮かぶと――自然と頬が緩んでくる。