美桜は両脇を抱きかかえられて態勢を整えられる。
座る恭司の膝の上に跨る格好となった。
「さて、気を紛らわせるために、俺の上に乗ってくれよ」
「さすがにこれはっ……」
ちょうどヘリが回旋したのか大きく揺れ動いて、機体の振動でも揺さぶられた。
「そろそろ到着かな」
「え? だったら早くした方が良いですね」
これで離れられるチャンスだ!
そう思ったのだが……。
「そうだな、急いだ方が良さそうだな」
「そうです……って、何を?」
「何ってそりゃあ」
恭司が熱っぽく囁いてくる。
ドキドキが落ち着かないものの……。
「……ヘリの中で流されるわけには」
美桜の頬に恭司がそっと頬を擦り寄せてくる。
「こういう時は流されとけって教えてただろう?」
「そう……でしたけれど……」
彼の唇が彼女の頬に口づけを繰り返した。
美桜はすっかり脱力してしまって、恭司の身体にしなだれかかった。
すっかり着物も乱れてしまっている。
ふと。
照明が消えて薄暗くなった。
ぼんやりする思考と視界の中、恭司がもう片方の手でサラリとした黒髪をかき上げるのが分かる。
「どうやら着陸態勢に入ったみたいだな」
美桜はすっかり脱力してしまって、なかなか声を出すことができない。
恭司はどうやら外の景色を眺めているようだ。
(あれ? そういえば高いところが苦手なままなんじゃ……? だけど、外を覗けている? まさか、騙された……?)
美桜は一声鳴いた。
「恭司さんは意地悪です」
恭司がゆるりと口の端を吊り上げる。
「クリスマス・イブだ。ホテルのスイートルームをとってあるから、そこに向かう」
そうして、脱力する美桜の身体を抱き抱え直した。
「続きはそれからだ」


