ヘリが郊外に近づいてきた頃には、すっかり夜も更けていた。
関西から関東までの夜間飛行だが、港近くの夜景の美しさは格別だ。
夜空も勿論綺麗なのだが、飛行機よりも低空を飛んでいるので、都会の街の輝きも目に入って一挙両得である。
運転席と客席とは壁で隔てられており、客席は6人用の座席が用意されていた。
後列の窓際の席、美桜は外の景色を眺めてはしゃいでいた。
「わあ、すごい高い! 星が綺麗!」
そうして、後列の中央席――美桜の隣に座る恭司に向かってはしゃいで声をかけた。
「恭司さん、見てください! 景色がキラキラしていますよ!」
恭司はといえば腕組みをして脚を組んだまま微動だにせずに過ごしていたのだが……。
「そうか」
美桜の声を耳にすると、チラリと外を一瞥して、再び目を瞑った。
(恭司さん、これはやっぱり……)
美桜は席に座って恭司の顔をじっと覗き込む。
「恭司さん」
すると、恭司が器用に片目だけ見開いた。
「なんだよ?」
美桜は恭司の腕にそっと手を添えると上目遣いで謝罪する。
「高いところが苦手なのに、私だけはしゃいでしまってごめんなさい」
すると、恭司が嘆息した。
「……別に空の上が怖いわけじゃないって説明しただろう?」
そうして、再び彼は目を瞑った。
恭司本人はそうは言うものの……。
(普段よりも口数がすごく少ないもの。絶対にやせ我慢してるはず……!)
美桜は恭司の腕にぎゅっとしがみつく。
彼が目を開くと彼女のことをジッと見つめてきていた。
「どうした? やけに積極的だな?」
「積極的……?」
「当たってる……」
「え?」


