冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

 美青年がこんな高級ホテルに顔パスだったことに驚きを隠せない。
 現れたドイツ人男性と美青年とがドイツ語で会話をはじめる。
 そうして、挨拶を済ませた後、奥にあるエレベーターへと向かった。

「すごいお金持ちの方とお知り合いなんですね?」

「ん? まあな。ほら、どうせまだ足が動かないんだろう? 俺が部屋まで案内してやるから」

「ありがとうございます!」

 その時。
 ぐ~~。

(……っ!)

 美桜のお腹の音が盛大に鳴り響く。

(は、恥ずかしい……! 穴があったら入りたい……!)

 顔を真っ赤にしてプルプル震えていると、美青年が腹を抱えて笑い始めた。

「ははっ、今日だけで一生分は笑ったな」

「さすがに一生分は言い過ぎじゃないですか……?」

「ああ、すまない。普段はこんなに笑ったりはしないんだがな」

 たまたま視界にドアマンたちの姿が映ったが、皆が一様に美青年の笑顔を見て驚愕していた。

(なんなの……?)

「久しぶりに笑わせてもらったな。ほら、周りのやつらも奇妙なものでも見てるみたいだろう?」

 よく笑う印象があった美青年だったが、周囲の反応を見るに、どうやら本当に滅多に笑わない人物のようだ。

「俺を笑わせられるとか、お前、絶対に何かの才能があるよ」

「……褒められている気があまりしません」

「そりゃあ、悪かった。ちょうど一階にレストランがあるから、先にそこに連れて行ってやるよ」

 そうして、予告通り、ホテルの備え付けのレストランへと案内された。ふと、窓の向こうに視線を移す。
 ちょうど川に面しており、対岸に立つ建物の灯りが、まるで星々のように煌めいていた。

「わあ、すごく綺麗な夜景!」

 テーブル席への案内も忘れて、美桜は窓から映る光景に感動した。
 隣に立った美青年が外の景色の説明をしてくれる。

「昼間だと、オレンジ色の屋根の家がたくさん建っているのが分かる。童話に出てくる建物みたいで、あんたも見たらもっと喜ぶかもな」

「観光ガイドにも書いてあった気がします! 可愛らしい建物がいっぱい建ってるんですよね!」

「そうそう、なんだ、知っていたのか。百聞は一見に如かずだ。明日の朝にでも部屋から眺めてみろよ」

「そうしてみます!」

 そうして。