冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

「これ……!」

 先ほど眺めていた黒猫のオーナメントだった。

「欲しかったんだろう? プレゼントだ」

「そんな、知らない人から物を貰うなんて出来ません」

 美桜が勢いよく告げると、美青年が「おや?」という表情を浮かべていた。

「しばらく一緒に過ごしただろう? 知らない奴呼ばわりは傷つくな」

「あ……ごめんなさい。だけど、出会ったばかりですし。こんな高い物……!」

「良いって。俺が贈りたくて買ったんだからな。控えめなのも結構だが、誰かが何かを贈ってきたら喜んでくれた方が、送り主も嬉しいはずだ。まあ、あんたが要らないんなら、それはそれで良いんだがな」

 美青年の言い分もそうな気がした。

(猫のこと、そんなに好きじゃなさそうだったのに……この人がいうように冗談だったのかな?)

 美桜は受け取ることに決める。

「でしたら、ありがとうございます」

「いいや、どういたしまして」

 美青年がふっと微笑むと――破壊力がものすごかった。
 美桜は我に返った。

(いけない、ずっとこの男の人のペースに乗せられてる)

 美桜はまたホテルに向かって歩を進める。
 黒猫のオーナメントはバックパックに取り付けることにした。

(それにしたって……)

 裏路地に街灯はあるものの、薄暗くて仕方がない。酔っぱらって寝転がった人たちもいる。

(この男の人、変な人だけど、一人でこの裏通りを歩くよりも心強かったかもしれない)