最後の嘘は、愛だった

それから、俺は何度も美華に聞いた。

「美華、都薇のこと教えてくれ」

「……ごめん。言えない」

次の日も。

「都薇は何を隠してた?」

「蓮には言えないの」

その次の日も。

「頼む。俺に教えてくれ」

「……都薇との約束だから」

何度聞いても、美華は同じ答えだった。

それでも俺は諦められなかった。

都薇が学校を辞めてから、日に日に不安が大きくなっていく。

あいつは今、どこにいる?

何をしている?

ちゃんと笑っている?

そして――

俺と別れた本当の理由は何なんだ?

ある日の放課後。

また美華を呼び止めた。

「……また都薇のこと?」

「うん」

美華は困ったように笑った。

「蓮、もう何日目?」

「分かんない」

「……本当にしつこいね」

「それでも知りたい」

俺は美華をまっすぐ見た。

「都薇のこと、諦められないから」

「……」

「別れたことを受け入れるのはできる。でも、理由も分からないまま、何も知らないまま終わるのは無理だ」

美華は黙ったまま俯いた。

「都薇が俺を嫌いになったなら、それでいい」

「……」

「でも、もし違うなら……俺はちゃんと知りたい」

長い沈黙。

やがて、美華が小さく息を吐いた。

「……分かった」

「え?」

「もう、言う」

美華は震える手を握りしめた。

「でも、私から聞いたって都薇には言わないで」

「……分かった」

「絶対に、都薇を責めないで」

「……何の話?」

美華はしばらく黙っていた。

そして、ゆっくり口を開いた。

「都薇ね……蓮と別れる前に、病院に行ってたの」

「……病院?」

嫌な予感がした。

「そこで……病気が見つかったの」

頭の中が真っ白になった。

「……え?」

「かなり重い病気だったみたい」

「待って」

声が震える。

「……いつ?」

「蓮と別れる少し前」

「……俺、何も知らない」

「うん」

「なんで……」

美華は目を伏せた。

「都薇は、蓮には絶対に知られたくないって言ってた」

「……どうして」

「蓮を苦しませたくないからって」

「……」