最後の嘘は、愛だった

「都薇ー! 遅い」

「ごめん、今行く!」

玄関を飛び出すと、家の前には蓮が立っていた。

「遅いって言ったけど、まだ待ち合わせ時間前じゃん」

「……細かいことは気にすんな」

「なにそれ」

呆れたように笑う蓮。

その笑顔を見ると、私は自然と笑ってしまう。

私たちは昔からずっと一緒だった。

家が近くて、幼稚園も小学校も同じ。

気づけば、隣にいるのが当たり前になっていた。

そして高校生になった今、私たちは恋人同士。

「ほら、行くぞ」

「うん」

蓮が歩き出す。

私もその隣に並ぶ。

いつもと変わらない朝。

いつもと変わらない景色。

――あと1年しかないなんて、誰も知らない。

「今日、放課後どこ行く?」

「んー……都薇が行きたいとこでいいよ」

「じゃあ、本屋!」

「また?」

「だって見たい小説があるんだもん」

「はいはい」

そう言いながら、蓮は笑っている。

私はそんな蓮を見ながら、胸の奥が少しだけ痛くなった。

……この時間が、ずっと続けばいいのに。

そんなことを考えてしまった。