3ヶ月前に遡る。
私、成瀬都薇。
「成瀬さん。あなたの命は、あともって1年です」
医師から告げられた言葉が、今でも頭から離れない。
助かるには、海外で手術を受けなければならない。
だけど、その手術が成功する確率は極めて低い。
手術をしなければ、だんだん体力が落ちていき、歩くだけでも息切れをするようになっていく。
「手術をするかどうかは、ご家族と相談してください。進行を遅らせる薬を出しておきます」
私は何も言えなかった。
家族に相談することも怖かった。
でも、それ以上に怖かったのは――
「蓮……」
幼い頃からずっと一緒にいた、大切な幼なじみ。
そして、今は私の恋人。
都築蓮。
蓮にこのことを知られることだけは、絶対に嫌だった。
だって、蓮はきっと私から離れない。
私がどんな選択をしても、きっと隣にいてくれる。
だからこそ、私は決めた。
蓮には何も言わない。
残された時間を、普通の女の子として過ごす。
そしていつか、蓮が私を忘れられるように――
私から離れる。
それが、蓮を苦しませないために私ができる、たった一つのことだと思った。

