"――お前みたいな、おめでたいやつ
……マジで心底嫌いだわ"
その冷徹な言葉が、咲夏の頭の中を何度も激しく駆け巡った。
いくら初対面の印象が最悪だったからとはいえ、そして危機を救ってもらった恩があるとはいえ、なぜここまで人格を否定されるような酷い言葉をぶつけられなければならないのだろうか。
中身は臆病な陰キャのままでも、咲夏の胸の奥からも、ふつふつと抑えきれない苛立ちと悔しさが湧き上がってきた。
「助けてもらったのは、本当に感謝してる……!でも、佐藤くんにそこまで言われる筋合いはないと思うんだけどっ!」
きゅっと拳を握りしめ、咲夏は真っ直ぐに怜の背中へと言い返した。
すると、去りかけていた怜の足が止まる。
彼は振り返り、片方の眉をぴくりと不機嫌そうに跳ね上げた。
「うるせーよ。お前みたいな見た目だけの軽い女、俺はマジで嫌いなんだわ。……つーか、冬弥の周りをチョロチョロうろつくなんて、更に認めねぇ」
「なっ……!」
予想もしなかった名前の登場に、咲夏は息を呑んだ。
「私が、冬弥くんと話そうが……佐藤くんには関係ないよねっ!?」
負けじと言い返す咲夏を、怜は冷酷極まりない瞳で見下ろし、鼻で笑った。
「大いに関係あるね。俺は冬弥の親友だから。お前みたいな中身のねー軽い女に、アイツに近寄って欲しくねーんだわ。どうせ周りから人気で、バスケ部のエースっていう特等席にいる冬弥がいいんだろ?自販機の前でちょっと優しくされたからって、調子に乗りすぎ。そんな薄っぺらい動機で冬弥と関わって欲しくない。マジで消えてくんね?」
次から次へと吐き捨てられる、鋭利な刃物のような言葉の数々。
「軽い女」「中身がない」「薄っぺらい」。
外見を変えるために、どれだけの努力を積み重ねてきたかも知らない男から浴びせられる偏見は、咲夏の心をズタズタに引き裂くには十分すぎる威力を持っていた。
――だけど。
あまりの理不尽さに涙が溢れそうになるのを必死に堪えながら、咲夏は気づいてしまった。
怜のこの酷すぎる言葉の裏には、冬弥を誰よりも大切に想い、守ろうとしている、痛いほどのまっすぐな友情が隠されているということに。
「私、そんなつもりじゃっ……!」
違う。私は冬弥くんの『肩書き』や『人気』に惹かれたわけじゃない。
誰も知らない、あの日ベンチで葉っぱを頭に乗せて笑ってくれた、彼自身の優しさに一目惚れしたんだ――。
必死に叫びたい言葉はたくさんあった。
けれど、それを証明する術を持たない今の自分には、紡げる言葉が何ひとつ見つからない。
……マジで心底嫌いだわ"
その冷徹な言葉が、咲夏の頭の中を何度も激しく駆け巡った。
いくら初対面の印象が最悪だったからとはいえ、そして危機を救ってもらった恩があるとはいえ、なぜここまで人格を否定されるような酷い言葉をぶつけられなければならないのだろうか。
中身は臆病な陰キャのままでも、咲夏の胸の奥からも、ふつふつと抑えきれない苛立ちと悔しさが湧き上がってきた。
「助けてもらったのは、本当に感謝してる……!でも、佐藤くんにそこまで言われる筋合いはないと思うんだけどっ!」
きゅっと拳を握りしめ、咲夏は真っ直ぐに怜の背中へと言い返した。
すると、去りかけていた怜の足が止まる。
彼は振り返り、片方の眉をぴくりと不機嫌そうに跳ね上げた。
「うるせーよ。お前みたいな見た目だけの軽い女、俺はマジで嫌いなんだわ。……つーか、冬弥の周りをチョロチョロうろつくなんて、更に認めねぇ」
「なっ……!」
予想もしなかった名前の登場に、咲夏は息を呑んだ。
「私が、冬弥くんと話そうが……佐藤くんには関係ないよねっ!?」
負けじと言い返す咲夏を、怜は冷酷極まりない瞳で見下ろし、鼻で笑った。
「大いに関係あるね。俺は冬弥の親友だから。お前みたいな中身のねー軽い女に、アイツに近寄って欲しくねーんだわ。どうせ周りから人気で、バスケ部のエースっていう特等席にいる冬弥がいいんだろ?自販機の前でちょっと優しくされたからって、調子に乗りすぎ。そんな薄っぺらい動機で冬弥と関わって欲しくない。マジで消えてくんね?」
次から次へと吐き捨てられる、鋭利な刃物のような言葉の数々。
「軽い女」「中身がない」「薄っぺらい」。
外見を変えるために、どれだけの努力を積み重ねてきたかも知らない男から浴びせられる偏見は、咲夏の心をズタズタに引き裂くには十分すぎる威力を持っていた。
――だけど。
あまりの理不尽さに涙が溢れそうになるのを必死に堪えながら、咲夏は気づいてしまった。
怜のこの酷すぎる言葉の裏には、冬弥を誰よりも大切に想い、守ろうとしている、痛いほどのまっすぐな友情が隠されているということに。
「私、そんなつもりじゃっ……!」
違う。私は冬弥くんの『肩書き』や『人気』に惹かれたわけじゃない。
誰も知らない、あの日ベンチで葉っぱを頭に乗せて笑ってくれた、彼自身の優しさに一目惚れしたんだ――。
必死に叫びたい言葉はたくさんあった。
けれど、それを証明する術を持たない今の自分には、紡げる言葉が何ひとつ見つからない。



