2限目の数学が終わって、20分休みに入った。俺はすぐ席から立ち上がって、4階に向かった。うちの学校は1階は職員室や、保健室。2階は1年。3階は2年。4階は3年という、階が上がるほど上級生ということになっている。
だから、俺は3階。茉莉ちゃんは4階だ。4階には、茉莉ちゃんに会おうと毎日行ってるけど、声をかけられないし、……見つけてもらえない。
やっぱり、6年も経ったら忘れちゃような……。でも、今日こそは声をかけて、見つけて、もらいたいな……。
4階に上がって、3年S組に向かう。S組は階段の横のクラスだ。
えっと、茉莉ちゃんは……い、いた……! やっぱ、人気だから、たくさんの人に囲まれてる……。声を、かけて……。
「ま、まりちゃ……あの……っ」
……やっぱり、今日もかわいいなぁ。でも、声をかけられない。今日も、いつも通り教室に……。
「……ーー理央?」
その声に反射的に振り向いた。しっかりと、茉莉ちゃんの、びっくりしたような声が聞こえたから。
……っ、6年ぶりに茉莉ちゃんに理央って呼んでもらえた……! へへ、嬉しくて涙が出ちゃいそうだ……っ。
俺の目に、少し涙が浮かんできた。
「茉莉ちゃん……‼︎ 俺、ずっと……‼︎」
クラスの人たちと話していたはずの茉莉ちゃんが、ガタッッと大きな音を立てて、笑顔でこっちに駆け寄ってくれる。
え……みんなと話してたはずなのに良いのかな……。
「……びっくりした! またかっこよくなったね……! 久しぶりっ、理央!」
「……っ!」
急に、かっこいいって……。茉莉ちゃんもかわいいのに……、やっぱり無自覚って怖い……。
最初に話した時もそうだったな……。勢いで『かわいいですね』って言ってしまった時に、『いやいや、私は全然そんなかわいくなんて……』って謙遜してたっけ。
ほんとに茉莉ちゃんはかわいいのに……って、本人と久しぶりの再会なのに、そんなこと思ってるなんて気持ち悪いか……。
俺のそんな気持ちを拭うように茉莉ちゃんは、笑顔を向けてくれる。
「ごめんね、この学校にいることもクラスもわかってたんだけど……もしかしたら忘れてるかもって思って声をかけづらくて……」
茉莉ちゃんは初めて会った時と同じ笑顔を浮かべて、話してくれた。
忘れるなんて……、そんなわけないのに……。
「忘れるわけないよ……。だって、俺、茉莉ちゃんのことす……ーー」
「ーー天堂さ〜ん、その誰?」
俺のことを知らない3年の1人の女子が、俺の言葉を遮って茉莉ちゃんに質問した。
……あっっっっっぶな……まだ告白してないのに、好きって言うところだったぁ……! これだけはマジで感謝……! あ、ありがとうございます……‼︎
「えっとね、2年の学年首位の理央だよ! 私が小6の時に大会で仲良くなったの……!」
「え、あの石垣書道の……⁉︎ すご……。……挨拶しとこ……こ、こんにちは!」
さっき茉莉ちゃんに質問していた女子が俺に挨拶してくる。
……感謝はしてるけど茉莉ちゃん以外に興味はないんだよ。他は黙ってくれ。
久しぶりの茉莉ちゃんとの時間を過ごしているのに、邪魔してくる女子に警戒心を向ける。
「……」
「ほら、理央。ちゃんと上級生には挨拶しなきゃダメだよ? そういえば、さっき何を……」
「ちゃ、ちゃんと挨拶するね……! こんにちは……」
こいつに挨拶するのはしゃくだけど、さっきのことについて聞かれたら困るし、茉莉ちゃんが言ってるなら挨拶しなきゃだから……!
挨拶すると、茉莉ちゃんは「えらいえらい」と言って頭を撫でてきて、心拍数が急上昇する。
上を見ると、笑顔で俺に目線を向けてくる茉莉ちゃんの顔が近くにあった。
会ったばかりなのに急にされると、やばい……!
ーーキーンコーンカーンコーン。
ちょうどその時、チャイムが鳴った。
「あ、チャイム鳴っちゃった。……まだ話したいことあるから、昼休み一緒に食べよっか?」
「う、うん……! じゃ、じゃあ、また、昼、休み……っ!」
満面の笑顔を浮かべる茉莉ちゃんにドキドキが止まらなくて、足早に茉莉ちゃんの教室を去った。

だから、俺は3階。茉莉ちゃんは4階だ。4階には、茉莉ちゃんに会おうと毎日行ってるけど、声をかけられないし、……見つけてもらえない。
やっぱり、6年も経ったら忘れちゃような……。でも、今日こそは声をかけて、見つけて、もらいたいな……。
4階に上がって、3年S組に向かう。S組は階段の横のクラスだ。
えっと、茉莉ちゃんは……い、いた……! やっぱ、人気だから、たくさんの人に囲まれてる……。声を、かけて……。
「ま、まりちゃ……あの……っ」
……やっぱり、今日もかわいいなぁ。でも、声をかけられない。今日も、いつも通り教室に……。
「……ーー理央?」
その声に反射的に振り向いた。しっかりと、茉莉ちゃんの、びっくりしたような声が聞こえたから。
……っ、6年ぶりに茉莉ちゃんに理央って呼んでもらえた……! へへ、嬉しくて涙が出ちゃいそうだ……っ。
俺の目に、少し涙が浮かんできた。
「茉莉ちゃん……‼︎ 俺、ずっと……‼︎」
クラスの人たちと話していたはずの茉莉ちゃんが、ガタッッと大きな音を立てて、笑顔でこっちに駆け寄ってくれる。
え……みんなと話してたはずなのに良いのかな……。
「……びっくりした! またかっこよくなったね……! 久しぶりっ、理央!」
「……っ!」
急に、かっこいいって……。茉莉ちゃんもかわいいのに……、やっぱり無自覚って怖い……。
最初に話した時もそうだったな……。勢いで『かわいいですね』って言ってしまった時に、『いやいや、私は全然そんなかわいくなんて……』って謙遜してたっけ。
ほんとに茉莉ちゃんはかわいいのに……って、本人と久しぶりの再会なのに、そんなこと思ってるなんて気持ち悪いか……。
俺のそんな気持ちを拭うように茉莉ちゃんは、笑顔を向けてくれる。
「ごめんね、この学校にいることもクラスもわかってたんだけど……もしかしたら忘れてるかもって思って声をかけづらくて……」
茉莉ちゃんは初めて会った時と同じ笑顔を浮かべて、話してくれた。
忘れるなんて……、そんなわけないのに……。
「忘れるわけないよ……。だって、俺、茉莉ちゃんのことす……ーー」
「ーー天堂さ〜ん、その誰?」
俺のことを知らない3年の1人の女子が、俺の言葉を遮って茉莉ちゃんに質問した。
……あっっっっっぶな……まだ告白してないのに、好きって言うところだったぁ……! これだけはマジで感謝……! あ、ありがとうございます……‼︎
「えっとね、2年の学年首位の理央だよ! 私が小6の時に大会で仲良くなったの……!」
「え、あの石垣書道の……⁉︎ すご……。……挨拶しとこ……こ、こんにちは!」
さっき茉莉ちゃんに質問していた女子が俺に挨拶してくる。
……感謝はしてるけど茉莉ちゃん以外に興味はないんだよ。他は黙ってくれ。
久しぶりの茉莉ちゃんとの時間を過ごしているのに、邪魔してくる女子に警戒心を向ける。
「……」
「ほら、理央。ちゃんと上級生には挨拶しなきゃダメだよ? そういえば、さっき何を……」
「ちゃ、ちゃんと挨拶するね……! こんにちは……」
こいつに挨拶するのはしゃくだけど、さっきのことについて聞かれたら困るし、茉莉ちゃんが言ってるなら挨拶しなきゃだから……!
挨拶すると、茉莉ちゃんは「えらいえらい」と言って頭を撫でてきて、心拍数が急上昇する。
上を見ると、笑顔で俺に目線を向けてくる茉莉ちゃんの顔が近くにあった。
会ったばかりなのに急にされると、やばい……!
ーーキーンコーンカーンコーン。
ちょうどその時、チャイムが鳴った。
「あ、チャイム鳴っちゃった。……まだ話したいことあるから、昼休み一緒に食べよっか?」
「う、うん……! じゃ、じゃあ、また、昼、休み……っ!」
満面の笑顔を浮かべる茉莉ちゃんにドキドキが止まらなくて、足早に茉莉ちゃんの教室を去った。




