慶正高校の入学が終わり、1週間が過ぎた。慣れない満員電車は、朝から疲れる。何よりも嫌なのは痴漢だ。
今日も電車内で私の胸あたりに肘が当たる。誰か助けてと心の中で叫んでもわかるわけがない。怖くて息苦しくて顔が真っ赤に熱を持つ。
すると私の間に割り込んできた上腕ニ頭筋の腕が見えた。長袖のシャツの腕をたくし上げているのだ。素晴らしい上腕二頭筋が袖から見え隠れしている。
私は先程の恐怖心を忘れて、魅了されている。何を隠そう私は筋肉フェチなのだ。
彼は私を庇うように、閉まった扉に両腕を壁ドンしているのだ。その腕の筋肉が見えるたび、息を飲むくらい凄い。
父も筋肉を鍛えているが、父以外、こんなに近くで筋肉質の腕を見たのは初めてだ。
高校生は、ほぼ皆ひょろひょろした細身の体型なのだ。それが鍛えあげた体を見られるなんて、思っても見なかった。
物心つけば、私は筋肉大好き女子になっていた。
相当なマニアックのフェチだ。それは会社員の父がジム通いして、体を鍛えると筋肉が答えてくれるそうで、ハマったらしい。
そのせいで、私が3歳の時から、筋肉の英才教育が父によって始まった。筋肉の構造までも教えてくれるのだ。
「パパ、抱っこ!」
「アリスはか可愛い。いくらでも抱っこするぞ。アリス、見てくれるか。パパの上腕三頭筋と内側の上腕二頭筋だ」
父は自慢げに私を抱え、左腕を見せてくれる。
「触ってみるか?」
「うん、パパ、しゅごい硬い。パパのじょーわんきん、しゅき」
「そうかそうか。パパ頑張るぞ。アリスを喜ばすため、鍛えるぞ!」
「パパ、アリス、ここもしゅき」
私は前腕伸筋群と前腕屈筋群の手の甲側の真ん中の溝を指差した。
「アリスは通だなぁ。この間の溝が好きか。さすがパパの娘だ。ここの溝が深く見えるようにするのは、頑張って鍛えないといけないんだ」
「パパしゅごい!パパしゅき」
「パパもアリスが好きだよ」
頬を父の頬に当てて、猫みたいにスリスリすると喜んだ。父の弱点だ。メロメロになるのだ。あざとい私はこの手を使って、おもちゃを買ってもらうのだ。イチコロだ。
父の抱きかかえてくれる逞しい腕が好きだ。
父の親バカは母も呆れる程だった。今もそうだ。高校生になった私を甘えさせてくれるし、何でも買ってくれる。
何よりも父の抱きかかえてくれる鍛えた腕が安心する。だから、幼い頃からの私の筋肉好きは今に至る。誰にも負けない筋肉フェチなのだ。
電車の中、閉まった扉の壁ドン。
筋肉フェチの私だから。この状況は筋肉に目が釘付け。
そんな腕に見とれていると、ゆっくりと近づいてくる顔が、私の耳元まできた。
今日も電車内で私の胸あたりに肘が当たる。誰か助けてと心の中で叫んでもわかるわけがない。怖くて息苦しくて顔が真っ赤に熱を持つ。
すると私の間に割り込んできた上腕ニ頭筋の腕が見えた。長袖のシャツの腕をたくし上げているのだ。素晴らしい上腕二頭筋が袖から見え隠れしている。
私は先程の恐怖心を忘れて、魅了されている。何を隠そう私は筋肉フェチなのだ。
彼は私を庇うように、閉まった扉に両腕を壁ドンしているのだ。その腕の筋肉が見えるたび、息を飲むくらい凄い。
父も筋肉を鍛えているが、父以外、こんなに近くで筋肉質の腕を見たのは初めてだ。
高校生は、ほぼ皆ひょろひょろした細身の体型なのだ。それが鍛えあげた体を見られるなんて、思っても見なかった。
物心つけば、私は筋肉大好き女子になっていた。
相当なマニアックのフェチだ。それは会社員の父がジム通いして、体を鍛えると筋肉が答えてくれるそうで、ハマったらしい。
そのせいで、私が3歳の時から、筋肉の英才教育が父によって始まった。筋肉の構造までも教えてくれるのだ。
「パパ、抱っこ!」
「アリスはか可愛い。いくらでも抱っこするぞ。アリス、見てくれるか。パパの上腕三頭筋と内側の上腕二頭筋だ」
父は自慢げに私を抱え、左腕を見せてくれる。
「触ってみるか?」
「うん、パパ、しゅごい硬い。パパのじょーわんきん、しゅき」
「そうかそうか。パパ頑張るぞ。アリスを喜ばすため、鍛えるぞ!」
「パパ、アリス、ここもしゅき」
私は前腕伸筋群と前腕屈筋群の手の甲側の真ん中の溝を指差した。
「アリスは通だなぁ。この間の溝が好きか。さすがパパの娘だ。ここの溝が深く見えるようにするのは、頑張って鍛えないといけないんだ」
「パパしゅごい!パパしゅき」
「パパもアリスが好きだよ」
頬を父の頬に当てて、猫みたいにスリスリすると喜んだ。父の弱点だ。メロメロになるのだ。あざとい私はこの手を使って、おもちゃを買ってもらうのだ。イチコロだ。
父の抱きかかえてくれる逞しい腕が好きだ。
父の親バカは母も呆れる程だった。今もそうだ。高校生になった私を甘えさせてくれるし、何でも買ってくれる。
何よりも父の抱きかかえてくれる鍛えた腕が安心する。だから、幼い頃からの私の筋肉好きは今に至る。誰にも負けない筋肉フェチなのだ。
電車の中、閉まった扉の壁ドン。
筋肉フェチの私だから。この状況は筋肉に目が釘付け。
そんな腕に見とれていると、ゆっくりと近づいてくる顔が、私の耳元まできた。



