ズルいズルいと言い続ける妹は正当性があった

「お姉様ズルいですわ!私も婚約者が欲しいのです!」


 お父様はまた始まったかと嫌そうな顔をした。


 お母様は、執事達に丸投げをして聞こえない振りをしている。



 私はというと、「婚約者は物じゃないのよ、あげられないわ!」とあっさり正論を吐いておいた。



 みんなそうだよねって雰囲気を出している。


 完全に幼稚な愚かな妹ルイーズ……!




「酷いのです!私だけ差別されていますわ!」



 またしても泣きわめくルイーズにみんなうんざりしているようだ。




 お母様はトイレに立つ振りをして、もうきっと部屋に戻ってこないだろう……



 お父様はというと、普段は執務室でする書類を突然書きだした……



 絶対にルイーズや他の人に自分は忙しいんだ仕事中アピをするために、無駄に持ち込んでいるだけですね。



 仕方なく執事達が「お嬢様、どうかご機嫌を取り戻してください……」


 などと慰めているが、ルイーズはますます激怒する!



「機嫌の問題じゃないの!私を子供扱いしないで!」




 ……周りの執事達は、だから子供なんだよ!って内心思っているウンザリした雰囲気だ!




 だが私にはルイーズの怒りの気持ちが実は分かるのだ。


 ルイーズは確かに一見駄々っ子に過ぎないが、それはルイーズがぶっちゃけ頭が悪いからそうなってしまうだけで、単に不器用な子なのだ!



 私のように、馬鹿を馬鹿だと見下して、自分が得に動くみたいな、邪悪さが無いからこそ、ああなっているんだろうなと思うのである。


 私は邪悪だから、ルイーズの気持ちが分かっても、自分が損してまで助けようとは思いませんけどね!




 ではどういうことか?


 お父様もお母様も、いや貴族社会自体、矛盾だらけだからルイーズは怒っているのだ!



 どういうことか?今貴族社会では、平等に愛し合うことが大事とか何とか戯言が広まっている。


 差別をするな、皆愛し合おう。


 頭おかしいと私は思う。



 何故なら私達貴族がそもそも特権階級であり、平民からしたら不平等な存在なのだ!

 故に、王家は常に我々の働きを監視しており、役立たずならば死ねとまで極論思われているのだ。


 流石に殺されたりはしないが、王家に平気で貴族が潰されるのはそういうことである。



 おそらくそれに対抗するためなのと、さらに無能なのに特権であることを隠すために、平等に愛するなんて思想が広まったのだろう。


 私が生まれた頃からあったから、歴史に詳しいわけでは無いのだが……!



 でもその平等が適応されるのは貴族達の間だけなのだ。


 馬鹿馬鹿しいそれでは平等でも何でも無い!


 ただの貴族のローカルルールに過ぎない。



 次に平等といいつつも、やはり王家は無能貴族を嫌っており、また王家を抜きにしても、平民も暴政を振るう貴族を当たり前に許さない。

 つまり何だかんだ我々は能力を求められるのだ。



 となると、出来の悪い奴は当然平等に扱うことなどできず、できるだけ貴族の政治に関わらせないことが合理的になるのだ!



 なのに平等とかいう意味不明な価値観のせいで、誰であっても、権限を与えないといけないなどと歪んだ思想になっているのだ!



 実際はそれが達成できないのに!




 私もルイーズも幼い頃から、貴族は平等に愛するから尊いみたいな戯言を聞かされて来た。



 私は邪悪だったので、それがおかしいということに割と幼い頃から気づいて、長じるにつれて、それが確信したが、ルイーズは素直でいい子だけど頭の弱い子だったから、本気で真に受けていたのだ!



 だから私と差別されるたびに(ルイーズよりも私が適任な仕事が多いから)ズルいズルいと言うのだけど、平等の精神が正しいのであれば、ルイーズの言う通りでは無いか!


 それでいながら厄介者扱いをしているのは、まさに貴族のその偽の思想のせいでしかない。



 こうしてルイーズは今日も明日もずっとズルいズルいと訴えて、それをみんなは面倒がるけど、平等の思想とルイーズを面倒がることと、両方同時に達成することはできない。



 それが分からないのだとしたら、真に馬鹿なのはルイーズでは無く、この下らない貴族文化でしかないですね!