王子は姫を愛したいだけ


「手、貸して?」


そう言うと、そっと左手を差し出してきた。

俺は指を絡めてそっとベッドに置いた。

ほぼ初めて触れたルシアの手は温かかった。


「今度は、庭の散歩で、手繋ごうね」


そう言うと、かすかに首を横に振っていた。


「嫌か…そっか」


少し傷付いた。


「今、ハグはだめ?」


またルシアは首を横に振った。


「2人きりだよ?誰にも見られない。それでも嫌?」

「…嫌」


可愛らしい声で拒絶された。


「じゃあせめてさ、今日はくっついて寝よ?」


どんどん泣きそうな顔になりながら、ルシアは首を横に振った。


「怖い」

「手出すなんて言ってないでしょ…。ただ寄り添って寝たいだけ。結婚したんだからそれくらいさせ」

「結婚したんだからもう満足してよ!」


急に語調が強くなった。


「私は一応姫だけど、格下の人間なの。本来レオン様と気軽に歩けるような格の人間じゃない。それ分かってて結婚してるのに、何で…」

「様はいらないよ。レオンでいいよ。格下じゃないし、一緒に手繋いで歩きたいんだよ。寄り添って抱き締めて眠りたいんだよ。俺は、ルシアのことが好きで、結婚したんだ。ルシアは俺のこと好きじゃない?」