君と最後のメロディを

「ねぇ、碧唯。」

金曜日の放課後。

「明日、予定ある?」

翠が少し照れくさそうに聞いた。

「ううん。」

「じゃあ。」

翠は一枚のチケットを差し出す。

「遊園地、行こう。」

「えっ?」

碧唯は目を丸くする。

「どうしたの、急に。」

「この前のコンテストのお祝い。」

「……二人で?」

「うん。」

「俺とじゃ嫌?」

翠は少ししょんぼりした顔をする。

碧唯は慌てて首を振った。

「違う違う!」

「嫌じゃない!」

「むしろ嬉しい!」

その言葉に、翠は満面の笑みを浮かべた。

「よかった。」



翌日。

青空の下。

二人は遊園地へやって来た。

「まず何乗る?」

「ジェットコースター!」

「えぇ……。」

「碧唯、苦手?」

「……ちょっと。」

「じゃあやめよう。」

「え?」

「無理して乗らなくていい。」

「でも翠は乗りたいでしょ?」

「碧唯と一緒にいる方が大事。」

さらっと言う翠。

「……もう。」

碧唯は顔を真っ赤にした。

「そういうこと普通に言う。」

「本当だから。」



メリーゴーランド。

ゲームコーナー。

クレープを半分こ。

笑い声が絶えない一日。

夕方になり、最後に二人は観覧車へ乗った。

ゆっくりと景色が小さくなっていく。

夕日に染まる街並み。

「綺麗……。」

碧唯が窓の外を見つめる。

「うん。」

でも翠は景色ではなく、碧唯を見ていた。

「……?」

「何?」

「景色より碧唯の方が綺麗。」

「……っ!」

碧唯は一気に顔を赤くする。

「もう!」

「そういうの恥ずかしい!」

翠は笑う。

「ごめん。」

「でも、本当に思った。」

観覧車はゆっくり頂上へ近づく。

静かな空間。

二人きり。

翠はそっと碧唯の手に触れた。

「……いい?」

碧唯は驚きながらも、小さくうなずく。

「うん。」

指先が重なる。

ぎこちなく繋いだ手。

でも、その温もりはとても優しかった。

「碧唯。」

「ん?」

「これからも。」

「いろんな景色、一緒に見よう。」

碧唯は嬉しそうに笑った。

「約束。」

夕日に照らされながら、

二人は初めて恋人のように手を繋いだ。

その温もりを、

二人ともずっと忘れない。