お姫様になんかなれない


そう言われても、涙は止まらなかった。

安心できなかった。

他の人と付き合ったことないから分からない。

だからさ、誰とでもキスできる人なんて、いくらでもいるでしょ。

でもなんで私は、別れたいって言えないんだろう。


「華ちゃん、手繋いで帰ろ。いくらでも泣いてていい。ね、家帰ってちょっと落ち着こっか」


駿希くんは手を繋いできた。

優しくて温かい、落ち着く手だ。

でも、それを私が独占するのは違うって、思ってしまう。

手を離してしまった。


「どした?」

「やだ」

「…やだ?」

「駿希くんの彼女に相応しくない」

「そんなことないから、ほら?帰ろ」


涙がポロポロ止まらなかった。

また彼は諦めずに手を繋いできた。


「大丈夫だから、俺といて?」


何度手を繋がれても、私は振り払った。

私は家に向かって走り出した。


「待って」


後ろから抱き締められた。


「離れてよ」

「逃げないで」

「やだ…!」


異質すぎる組み合わせ。

私はそんな、駿希くんと付き合うなんて違うのに。

彼の好きを、受け止めきれないのに。


「駿希くんには、もっとお似合いのお姫様がいるでしょ?」

「華ちゃんがお姫様だよ」

「違う!」