王子は愛は届かない


「華ちゃん、たまには一緒に帰ろ?」


机に手を置いて、上目遣いで言ってきた。

私は涙目で席を立つ。


「…もう、浮気でもなんでもしたらいいじゃん」

「そんな冷たいこと言わないでよ」


私はスタスタと帰っていった。


ある休日。

図書館で涼みがてら、読みたい小説を読んでいた。

帰ろうかなぁという頃、メッセージ通知がきた。


<今どこいる?>


駿希くんだった。

無視したって良かった。

でも返していた。


<駅前の方の図書館>

<え、まじ!近くいるよ!迎えに行くよ>

<遅くもないし1人で帰れるよ>

<いいから待ってて>


と言われ、図書館の下で待っていた。

私に気付くと小走りで駿希くんはやってきた。


「ね?近くにいたでしょ」

「…うん」


駿希くんの前で、どうやって笑ってたっけ。

どうやって話してたっけ。

分かんなくなって、気付いたら泣いていた。


「え、どうしたの?!」

「なんで別れないの、こんな可愛くもない彼女、とっとと振ればいいのにさ」

「俺にとって、可愛い彼女だよ?振るなんてバカじゃん」


そう言って軽くキスしてきた。


「好きでもない女の子にキスなんかしないよ」