王子は愛は届かない


翌日、教室に入ると、なんとなく女子の視線を感じた。

隣の席の駿希くんは、私に気付くと、他の人達と話してるのをやめてこちらにやってきた。


「おはよ!華ちゃん」

「おはよう」

「とりあえずクラス公認の仲になった!」

「へ…?」

「ん?」


付き合ってるの、全員に明かしたってこと?

そりゃ駿希くんファン、特にガチ恋勢は私のこと憎くて仕方ないよ。

だからこの視線か。

納得した。

私なんかが、駿希くんの彼女になるからだ。

断っておけば良かったのかな。

居心地が悪くなって、荷物を置いて、スマホだけ持って教室を出た。


「ちょっと、どこ行くの?」

「どっか」

「俺といよ?」

「教室居心地悪いから…やだ」

「…こっそり付き合いたかった?」

「できればそうしたかった」

「ごめんね。嬉しくてつい…」


そう言って抱き締めてきた。


それから、せっかく付き合ったのに、なんとなく距離が遠のいてしまった。

私がなんとなく避けていた。

女子が怖かった。

そしたらなんとなく、駿希くんも怖くなってきた。

手を繋ぐのすらも。

どこで誰が見てるか分からないから。