王子は愛は届かない


高校生になって。

王子様こと駿希くんは、困ってなくても話しかけてくれるようになった。

何故って、席が隣になったからだろう。


「ねえねえ、今日どっか遊びに行かない?」

「え…」

「無理にとは言わないけどさ」


なんて。

光り輝くようなその笑顔に、呑み込まれてしまいそうだった。

でも別に、他の女の子にだって、こうやって声かけて出かけたりするんだろうし。

私だから特別なわけじゃない。


「私は、いいよ」

「用事でもあった?」

「私なんかじゃなくて、他の女の子誘いなよ」


駿希くんが、一瞬固まって、え?って顔をした。


「…華ちゃんだから誘ったんだけどな…」


私、だから…。

いくらでも使えるよ。

誰々ちゃんだから、って。

それなのに、なんでそんな悲しそうな顔してるの?


「…どこ連れてってくれるの?」

「甘いもの好きなら、こないだ探して見つけたカフェかな」

「…じゃあ行く」


駿希くんは優しく笑った。


「良かった」