お姫様になんかなれない


数日経って。

また母がノックしてきた。


「駿希くんだけど、入れていい?」


胸がどきりとした。


「嫌!」

「華ちゃん…?」

「ごめんね駿希くん…トイレとお風呂以外で、出てこないのよ」


軽く過呼吸になった。

嫌だ、嫌だ、嫌だ…!


「過呼吸?大丈夫?」


ガチャリと、駿希くんは入ってきてしまった。

私の背中をゆっくり叩いて、落ち着かせようとしてきた。


「嫌って言ったじゃん…!」

「彼女のこと助けたいだけだよ、許して」


まだ彼女なの?


「彼女じゃない」

「別れた覚えはないよ」

「駿希くんのお姫様はまおちゃんでしょ」

「勝手に決めつけないで」


呼吸が落ち着いた私を、優しく抱き締めてきた。


「手放す気ないって言ったでしょ」

「だったら整形する」

「やめて?今の華ちゃんが好きだから」

「隣歩きたくない…今の私は。庶民の私と、王子様の駿希くんじゃ嫌だ」


彼は溜め息をついた。


「あのさあ…俺そんな王子なんて大層なもんじゃないし、華ちゃんは自分が思ってるより、低く見積っても100倍は可愛いよ?だから、隣歩いて、学校行こ?」


そう言って、甘くキスを交わした。