「……お待たせいたしました、朔様」
シャラン、とカーテンが開けられた。
ソファで腕を組んで待っていた朔先輩が、立ち上がって私を見た瞬間――。
その動きが、ピタリと止まった。
「……っ」
いつもは意地悪で余裕たっぷりの絶対君主が、大きく目を見開いたまま、言葉を失っている。
そして、スッと片手で口元を覆い隠すと、耳の先まで真っ赤にしてパッとそっぽを向いてしまった。
「あ、あの……変、ですか……?」
フリルいっぱいのスカートをぎゅっと握りしめておずおずと尋ねると、先輩はわざとらしく「んんっ」と咳払いをした。
「……うるせぇ。可愛すぎて、他の奴らに見せたくなくなった」
「えっ?」
「……行くぞ。今日一日、俺から絶対に離れんなよ」
そう言って、先輩はさっきまでの強引さとは打って変わって、壊れ物を扱うように優しく私の手を取った。
触れ合った指先から、先輩のドキドキした心音まで伝わってくるみたいだ。
いざ、決戦のクリスマス・プロムへ。
私たちはお互いの手を固く握りしめたまま、魔法みたいな光に包まれた大講堂へと向かって歩き出す。


