初恋のパルファムには、女嫌いな天才を狂わせる毒が入っている。

「今回の課題は、二人一組で互いの試作を評価し合うこと」

講師の言葉に、教室がざわめく。

そして、名簿順で発表された私のペアの相手は、予想通り、千瀬だった。

放課後、誰もいなくなった調香室に、私と千瀬の二人だけが残される。

お互いに机の上に実験器具を並べ、沈黙が流れる。

いつもならすぐに冷たい言葉を投げてくる千瀬が、今日はなぜか、最初から一度も私と目を合わせようとしなかった。

「……あ の、千瀬くん。どっちの試作からチェックします?」

沈黙に耐えかねて、私は少しだけ強気に、一歩踏み込んで声をかけた。

千瀬はフラスコを振る手をピタッと止め、ゆっくりと私を睨みつける。

その綺麗な瞳は相変わらず冷徹に見えたけれど、どこかいつもと違う焦燥(しょうそう)を孕んでいるように見えた。

「お前からに決まってんだろ、お前。……さっさとその無難な試作、俺に見せてみろよ」

口の悪い彼の言葉に、私はキュッと唇を結んだ。