「なんで紙(ムエット)の匂い嗅いでんのに、お前のあの……素肌の匂いが、頭から離れねぇんだよ……。バカじゃねぇの、俺……」
千瀬くんはそう言うと、私のノートの、ちょうど昨日彼が香水を落としたページを指先でそっとなぞった。
そして、まるで自分の弱さを隠すように、低く、でも男らしくぶつぶつと文句を並べ立てる。
「他の女の匂いは、嗅ぐだけで吐き気がすんのに。あいつ、のは……なんか、邪魔にならないっていうか……。っ、あーっ!」
彼はバッと顔を上げると、耳の先までトマトみたいに真っ赤に染め上げ、誰もいない空間を鋭く睨みつけた。
昼間、あんなに冷たく私を無視して逃げたくせに。
夜の調香室で、私の残した匂いの余韻に、一人で完全に理性をめちゃくちゃにされて自爆している。そのウブすぎる姿を、私はドアの向こうで息を止めて見つめていた。
千瀬くんはそう言うと、私のノートの、ちょうど昨日彼が香水を落としたページを指先でそっとなぞった。
そして、まるで自分の弱さを隠すように、低く、でも男らしくぶつぶつと文句を並べ立てる。
「他の女の匂いは、嗅ぐだけで吐き気がすんのに。あいつ、のは……なんか、邪魔にならないっていうか……。っ、あーっ!」
彼はバッと顔を上げると、耳の先までトマトみたいに真っ赤に染め上げ、誰もいない空間を鋭く睨みつけた。
昼間、あんなに冷たく私を無視して逃げたくせに。
夜の調香室で、私の残した匂いの余韻に、一人で完全に理性をめちゃくちゃにされて自爆している。そのウブすぎる姿を、私はドアの向こうで息を止めて見つめていた。

