初恋のパルファムには、女嫌いな天才を狂わせる毒が入っている。

あからさまに目を逸らされた。

いつもなら冷淡な目で私を見下ろして「無難だ」と鼻で笑うはずの天才が、完全に私を避けている。

彼が自分の席に向かって歩いていく後ろ姿を見つめながら、私は悔しいような、それ以上に胸の奥がキュッと締め付けられるような、妙な焦りを感じていた。

「千瀬くんのバカ。自爆して逃げたくせに、朝からその態度は何……」

小さく呟き、机の下で制服のスカートをぎゅっと握り締める。

恋愛経験ゼロの私には、彼のこの極端な拒絶が、ただの『女嫌い』の延長なのか、それとも昨日の私の匂いに動揺しているからなのか、全く判断がつかなかった。

昼休みになっても、実習の時間になっても、千瀬くんは私を徹底的に無視し続けた。

私たちが1位を僅差で争い合うライバルだなんて、誰も信じられないくらい、私たちの間には気まずくて冷たい、見えない境界線が引かれていた。