初恋のパルファムには、女嫌いな天才を狂わせる毒が入っている。

「何って……だから、私の試作香水が、肌に溶けた匂いじゃないんですか? 千瀬くんの完璧な計算、私の肌でどうなっちゃったんですか?」

私は赤くなった手首をそっと押さえながら、負けず嫌いな一面を必死にかき集めて、少しだけ強気に言い返した。

自分の心臓だって破裂しそうなほどバクバクしているのに、千瀬くんのあまりの焦りっぷりに、負けたくない一心でツッコミを入れてしまう。

「計算とか、そういう問題じゃねぇよ……! お前、本当に何もつけてねぇんだろうな!?」

「しつこいって言ってます! 普通の石鹸しか使ってません!……っていうか、千瀬くんの方こそ、なんでそんなに顔赤いんですか!」

私 が真っ直ぐに千瀬くんの顔を指差すと、彼はさらに顔を真っ赤にして、ガシガシと乱暴に自分の髪を掻きむしった。