初恋のパルファムには、女嫌いな天才を狂わせる毒が入っている。

「うるせぇ。今、確かめてんだから喋りかけんな」

千瀬くんは私の強がりをぶっきらぼうに遮ると、掴んでいた私の手首を、さらに自分の顔のほうへとぐいっと引き寄せた。

「え……っ、千瀬くん!?」

思わず声を上げたけれど、彼の手の力は思いのほか強くて逃げられない。

逃げられないどころか、彼の綺麗な顔が、私の手首のすぐ目の前にまで迫ってくる。

すっと通った鼻筋が、私の脈打つ素肌に触れてしまいそうなほどの距離。

(……近すぎる、動けない)

男の子の体温をこれほど間近で感じるのは初めてだった。

ウブな私の心臓は、限界を迎えて爆発しそうなほどドクドクと大きな音を立て始める。

千瀬くんはゆっくりと目を伏せ、私の手首にそっと鼻を寄せた。

彼の優しくて、少しだけ熱い吐息が、私の剥き出しの素肌に直接吹きかかる。