初恋のパルファムには、女嫌いな天才を狂わせる毒が入っている。

「おい、凛」

講師が去った静かな部屋で、千瀬がゆっくりとこちらを振り返った。

すっと通った鼻筋に、色素の薄い綺麗な瞳。

学校中の女子が憧れるその顔は、ライバルである私に対しては、いつも驚くほど冷酷だ。

彼は私の評価用紙を冷ややかに一瞥すると、低く、ぶっきらぼうな声で言い放った。

「今回のお前の香水、シトラスの配合が無難すぎる。誰の記憶にも残らねぇよ。そんな浅はかな計算じゃ、一生俺の足元にも及ばない」

「――っ」