初恋のパルファムには、女嫌いな天才を狂わせる毒が入っている。

「しつこいな……。つけてないって、さっきから何度も言ってますよね」

私がきゅっと眉をひそめて言い返すと、千瀬くんはフンと小さく鼻を鳴らした。

そして、意を決したように、ゆっくりと手を伸ばしてくる。

夕暮れの光が、彼の細くて綺麗な指先をオレンジ色に染めていた。

次の瞬間、彼の冷たい指先が、私の熱い手首にそっと触れた。

「っ……!」

思わず小さな悲鳴が溢れそうになり、私は慌てて口を噤んだ。

掴まれた手首から、千瀬くんの確かな体温がじんわりと伝わってくる。

男の子の手に直接触れられるのが初めてだった私は、全身の血が一気に沸騰したかのように熱くなるのを感じていた。

「動くな。……お前が動いたら、正確な位置に落とせねぇだろ」

千瀬くんはぶっきらぼうにそう言うと、私の手首をしっかりと固定するように、少しだけ強く握り直した。