初恋のパルファムには、女嫌いな天才を狂わせる毒が入っている。

千瀬はそう言って、ひどく面倒くさそうに頭をガシガシと掻きむしった。

普段の彼なら、ここで適当な女子生徒を捕まえて協力させることもできたはずだ。

学校中の女子が、彼の頼みなら喜んで腕を差し出すだろう。

けれど、極度の女嫌いである彼にとって、それは絶対にあり得ない選択肢だった。

「他の女の香水交じりの肌なんて、嗅いだだけで鼻がひん曲がる。どいつもこいつも、計算を邪魔する雑音ばっかりだ」

女性を徹底的に拒絶する冷酷な言葉。

ナメられたくない私は、思わずキュッと唇を噛んで言い返した。

「じゃあ、私は? 私なら、余計な香水なんてつけてないです。毎日無香料の石鹸しか使ってないので。」

大人しい私が、彼の前でだけは意地になって、そんな風に真っ直ぐに自分を売り込んでしまっていた。