私を愛さなくてもいいが嫌がらせをしていいとは言っていない

「悪いが君を愛する気は無い」

 政略結婚をしたアルフレッド侯爵令息に言われたセリフだ。


 私は「分かりました」とだけあっさり言うと、何か不愉快そうな顔をされた。


 何でやねん!


 何か小説で流行っている展開らしいが、小説の令嬢は、大体悲しんだりメソメソしたりするが、こんなの物語補正に過ぎないと私は思う。


 だって政略結婚で、元々何も関係が無い相手を、いきなり愛しますとか、そのほうがいかれているわけで、愛する気が無いなんて当然なのだ!



 そもそも私は政略結婚って仕組みそのものも下らないとすら思っているのだが……



 貴族に生まれてしまった以上、仕方無いと言うだけに過ぎない。


 むしろやたらべったりされるほうが嫌だったので、ありがたいなーとしか思っていないのであった!



 別に恋愛が嫌いとかそこまで偏屈なつもりは無い。


 だがほとんど関係が無い男とべったりしたいとは思わないだけなのだ!




 だがどうやら私の興味が無い顔が気にくわなかったのか、アルフレッド様は私の事を可愛くないなどと言うようになった。


 あのさぁ……あそこで悲しんだ振りでもしたら良かったのでしょうか?


 でも本当に愛する気が無いとしたら、私みたいな感じのほうが、アルフレッド様にとっても楽だと思いますけどね。


 ウジウジと絡まれたいんですかね!



 そういうの女の悪い所!って男の人が切れ気味になることは、お兄様を見て知っているのですよ?



 お兄様はモテるからか知らないけど、割と女性への態度が畜生気味で、メソメソウジウジする女について、ウザいだのうっとうしいだの!家で散々悪たれついてましたからね。

 あまりにも度が過ぎた相手には直接言うくらいでしたから……!



 もしかして、あそこでメソメソしてくれて、自分が愛されているみたいな実感をしたいみたいな、お兄様がブチ切れるタイプのアホ女みたいなことを、まさか男で考えていたとかいう、寒いことでは無いですよね?


 それ女がやっても恥以下で許されないので、当然男でも許されませんよ?



 まぁどちらにしても、私は何故か嫌われたらしい。




 そしてある日突然女を連れ込んできた。


 別にいいんですけど、「彼女こそ私の愛する女性だ!皆は彼女を女主人となって仕えるのだ!」

 などという寝言を言い出すので、流石に切れた!





「別に愛人を作ろうがどうでもいいのですが、そういう私を完全に蔑ろにする行為をしていいなどとは言ってないのですが!」



 私が強く言うと、この馬鹿男は、


「うるさい!お前が可愛くないのがいけないんだ!」


 と来たものだ、私は言い返す。



「政略結婚に可愛いもクソもありませんわ、それに愛する相手が可愛く無くて嘆くのならまだ分かりますけど、愛する気が無いのなら、可愛げなどどうでもいいのでは?」




「そういうところが可愛くないんだ!」




 こういうのを支離滅裂と言うのだろう。



 しかし私は言ってやる。



「で別に可愛く無くてもいいのですが、私を愛さなくていいんで、嫌がらせをしていいとは言ってないのですが!」




「黙れ!可愛くない女は生きる価値無し!」



「では馬鹿な男も生きる価値無し!」




「俺は馬鹿じゃない!」



 どう考えても馬鹿なのにこれである。



 はぁ……私は呆れてこの家を出た。



 その結果、まともに政略結婚もできないと、アルフレッドの両親の侯爵達はブチ切れて、アルフレッドの後継者をはく奪したらしい。



 結局何がしたかったのかよく分からないが、聞いた話だと、私に愛されたかったらしい。


 それならそれで、愛する気は無いみたいなよく分からない駆け引きをしなかったら、段々仲良くなれた可能性はあったのにね。


 全部自業自得ですわ……


 やっぱ男は、いや男に限らず女もですけど、馬鹿は嫌なものですね!