ひまわりが咲く場所で(続)

数日後。

ストーカー行為は、一気にエスカレートした。

朝、梨衣がロッカーを開けると、小さな箱が置かれていた。

中には、梨衣が好きだと以前同僚に話していた花のキーホルダー。

そして、一枚のメモ。

『似合うと思って選んだよ。』

「……っ。」

梨衣は思わず箱を閉じた。

「どうした?」

後ろから瑠唯が声をかける。

梨衣は何も言わず箱を差し出す。

瑠唯は中を見ると、すぐに警備へ連絡した。

「この箱には誰も触れるな。指紋を確認する。」

冷静な口調だったが、その目は鋭かった。



その日の夕方。

梨衣が勤務を終えて病院を出ると、一輪の白い花が車のワイパーに挟まれていた。

そこにもメモが添えられている。

『今日もお疲れさま。無理しないでね。』

梨衣は急いで病院へ戻った。

「先生……。」

瑠唯は花を見ると、静かにため息をつく。

「……病院の敷地内まで入ってきている。」

「どうして私なんでしょう……。」

梨衣は不安そうにつぶやく。

瑠唯は少し考えたあと、短く答えた。

「お前は悪くない。」

その一言だけだった。

だが、その言葉に梨衣は少しだけ救われた。



同じ頃。

病院から少し離れた場所。

神崎蓮は車の中から病院を見つめていた。

助手席には、これまで撮った梨衣の写真が何枚も並んでいる。

蓮はその一枚を手に取り、優しく微笑んだ。

「梨衣さん……。」

しかし次の瞬間、その笑顔は消えた。

写真には、瑠唯と並んで歩く梨衣も写っていた。

蓮はその写真だけをゆっくり折り曲げる。

「どうして、あの先生なんだ……。」

静かな声には嫉妬がにじんでいた。

「もう少しで……君と二人で話せる。」

そうつぶやくと、蓮はエンジンをかけ、夜の街へ走り去っていった。

その執着は、さらに危険な方向へ向かい始めていた。