ひまわりが咲く場所で(続)

翌朝。

瑠唯は病院へ来ると、院長室へ向かった。

「院長、例のストーカーについて、防犯カメラを確認させてください。」

院長は真剣な表情でうなずく。

「もちろんだ。」

警備室。

瑠唯と警備員は、病院内外の防犯カメラ映像を何時間も確認していた。

すると、一つの映像で瑠唯の手が止まる。

「……ここで止めろ。」

画面には、梨衣のロッカーへ近づく一人の男が映っていた。

帽子を深くかぶっていた男が、一瞬だけ顔を上げる。

「……こいつか。」

瑠唯の目が鋭くなる。

警備員が驚いたように声を上げた。

「この男……以前、入院していた患者です。」

「名前は。」

「神崎蓮。」

瑠唯は無言で資料を受け取る。

そこには、数年前に交通事故で入院していた記録が残っていた。

担当看護師の欄には——

『梨衣』

「……そういうことか。」

瑠唯は静かにつぶやく。

神崎蓮は、梨衣が親身に接したことを勘違いし、退院後も執着するようになってしまったのだ。

「警察へ連絡しますか?」

警備員が尋ねる。

「ああ。ただし——」

瑠唯は画面から目を離さずに続けた。

「梨衣には、まだ話すな。」

「え?」

「余計な不安を与えたくない。」

瑠唯は資料を閉じた。

(安心しろ、梨衣。)

(お前は俺が守る。)

その頃。

何も知らない梨衣は病室を回り、患者の対応をしていた。

廊下の角を曲がると、一人の男性患者とすれ違う。

男性は小さく笑い、梨衣にだけ聞こえる声でささやいた。

「……やっと会えたね。」

梨衣は驚いて振り返る。

しかし、その男性は人混みに紛れ、姿を消していた。

神崎蓮は、もう病院の中に入り込んでいた——。