またあなたに会えるなら、この花が咲く庭で。

Todesfeld.

南洋航路は青く、宝石のような輝きであった。

私をゲーテと呼んだ青年との出会いも、まさにその上の甲板だった。

ドイツ語版の「若きウェルテルの悩み」だけを戦地に持っていくことにした。
弾を防ぐほどの厚みはないが、邪魔になるほどでもない。

「なんの本を読んでいるんですか?」

彼だった。

「…ゲーテのウェルテル」

「ほっとけ」

彼の先輩兵士のようだ。

「そいつは慶応って学校から来た兵だ。俺たち農民とは違うそうだ」

「しかないですよ。本当に農民なんですから」


生まれる前から人生が決まっている。

彼らの私への嫉妬や妬みは当然。

しかし彼は、生まれた境遇を嘆くこともなく受け入れている。

なかなかできることではない。

カン!カン!カン!

⸻敵襲!

⸻空か、いや潜水艦だ!

船は右へ左へ転覆寸前まで傾く。

「くっ!」

我々は陸軍だ。
潜水艦相手になすべき対策などない。

また一隻やられた。

こんな単独航行しては⸻。

ん?

雨?

波飛沫だと思っていたが。


曇天が空を覆っていた。

今度は激浪に揺さぶられる。

◇ ◇ ◇

敵の潜水艦は去ったようだ。

夕焼けにきらめく海が美しいが、みな命拾いをして、へとへとである。

◇ ◇ ◇

多くの戦友が海底に没し、我々の船は運良く到着した。

『南洋航路』という流行歌があったが、あの陽気なメロディとはかけ離れた、魔の航路であった。

「お前はこっちだ」
「は!」

上官にトラックに乗るよう指示された。

俺が扉を閉めると、

「これから、集落や休息できそうな場所を原住民から聞き、地図を作成する。その通訳をやってくれ」
「はい」

戦況は想像以上であった。

上官はおそらく⸻。

「場所は首都から少し離れた集落で行う。これは極秘事項だ」
「は!」

⸻俺、タガログ語は話せないが…。


トラックを降り、日本兵が警護するニッパハウスに入る。

この人か。
「Good afternoon. I am the geography teacher here. I have been told that you need information about this area. I will do my best to assist you.」

よかった、英語だ。